千鬼の顔は白いというよりも青白く、痛みのせいか傷が原因の熱のせいか汗がすごい。
呼吸もうめき声も弱々しい。
傷に当てた布には血が滲んでいる。
黄色の髪の少年は桶に井戸水を汲んできて、それに清潔な手拭いを浸した。
手拭いを絞り、冷えたそれを千鬼の額に当ててやる。
ふたりの手当てのおかげか、千鬼は少し落ち着いたように見える。
まだ苦しそうなことに変わりはないが、恵都はひとまず胸を撫で下ろした。
きっと助かる。
妖は人間とは比べものにならないほどの生命力を持っていると、以前千鬼自身から聞いたことがある。
特に格の高い妖はそれが顕著だと言っていて、千鬼がその部類に当てはまることは恵都にもなんとなく分かった。
だから大丈夫だ。
きっと恵都のために千鬼が死んでしまうことなんてありえない。
千鬼が死ぬなんて――。
絶対にありえない、とは思えなかった。
実際に千鬼は苦しそうで、血だって止まらない。
顔色も悪いし意識もない。
「もうこれ以上、我々にやれることはありません」
そう言ったのは黒髪の青年だった。
青年は柊と名乗り、そこでようやく嘴を模した面頬をとった。
