天翔ける君






妖たちはそろそろ屋内にこもる時間帯だ。
太陽の光を浴びて弱ったりするわけではないが、どうしても苦手なのだそうだ。

それは千鬼も例外ではなく、太陽の光を嫌う。
柊と嵐は慌ただしく千鬼を彼の自室に運び入れた。

山吹はというと、恵都が柊と嵐と一緒に千鬼の自室へ向かう間に姿を消してしまった。



黒髪の青年は南天と同じような嘴を模した面頬と山伏の装束のまま、手際よく千鬼の怪我を手当てしていく。
黄色の髪の少年は青年の指示に従って、お湯や手拭いなどを用意していた。

どちらが柊で嵐だが恵都には分からないままだったが、そんなことは今の彼女にはどうでもいいことだった。

恵都は祈るようにふたりが千鬼の手当てをするのを見守った。

血を吸った手拭いを片付けるだとか、医療の知識のない恵都にもできることは簡単に思いついた。
けれど、恵都は千鬼から片時も離れたくなかったのだ。

ふたりはそんな恵都を責めなかった――というより、その余裕がないのだろう。
千鬼の容体は素人の恵都でも判断できるくらい、一刻を争っている。