「……俺から離れないって約束したよな??」
……離れないよ。
私はずっと、ここにいる。
いいよ、もう、―――。
湯沢になんか、行かなくていい。
ずっと、ずっと、臣君のそばにいるから。
「離れないよ。約束、したじゃん」
ゆっくりと立ち上がり、私は臣君の身体を抱きしめた。
出会った頃より少し痩せちゃったね。
「璃奈の作ったオムライスが食べたいな」
「うん。オムライスね」
臣君の前でオムライスなんて、一度しか作ってないのに。
卵が破れて不格好なオムライスをケチャップで上手に隠してくれたよね。
「愛してる」
「私もだよ」
涙が溢れて仕方がない。
どうしてこうなっちゃったんだろうね。
ただ普通に、―――。
二人で一緒にいられたら良かったのに。
緩く少し癖のある髪を指で梳いていく。
男の人なのに細くて柔らかな髪質。
撫でるといつも照れくさそうに笑うんだよね。
「好きよ、臣君」
小さな震えが止まらない臣君を、私はいつまでも抱きしめていた。