事故現場まであと少し。

と、言うところで道を歩いているカップルに目が留まる。


「運転手さん!停めてください!」


カップルから数メートル過ぎた先で急いでタクシーを降りると、来た道をカップルのほうへ戻り、手を振る。


「優由(ゆう)!」


カップルの女性が私に気づく。


「あ、愛!!」


私たちはお互いに駆け寄ると抱き合う。


「愛?!ほんなごて愛ね!!今までどがんしとったとねぇ~!!」


幼稚園からの幼馴染の優由。

高校までずっと一緒だった。

仲良し4人組のうちの一人で、その中でも一番私と仲が良かったのが優由だ。


「よう、顔ば見せて、愛!」


私たちは久し振りの再会にちょっぴり涙を滲ませる。



「むかつくぅ~!愛ってばますますべっぴんさんになって!
すぐには気づかんやったばい!!」

「優由だって……」


お互いにクスリと笑う。


「優由、誰?」


後から追いついてきた男性の声に優由が振り向く。


「なんば言いよっとね、タケちゃん!愛たいね。
あの、ヒップホップばーーーっかりしとった愛たい」

「……愛?えっ?!あの杉原愛!」


なんとなく見たことのある男の人の顔をよくよく見てみる。


この顔、どこかで見たことが……



「あっ……」


思い出した!