ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

「朝比奈光太という人は、まさに、『書くために生まれてきた』のね。

そして、彼の書くものは、読んだ人の心を打つ。

ーーー天才よ。


でも、あの人は、書くことしかできない。

他のことは何にもできない。



そのことが分かったとき、私はね、彼の望むことは何だって叶えてあげる、って決めたの。


あの人は私がいないと生きていけない。

そう感じたときの快感といったら、もう言葉にならないわよ?」




妖艶な笑みを浮かべ、ソウコさんは吐息を洩らす。




「………まぁ、彼が私に望むことなんて、お金だけなんだけど、ね………」




ソウコさんはそう言って、少し寂しそうに笑った。




そのときドアが開く音がして、朝比奈先生が出てきた。




「智恵子、準備ができたよ」




能天気な声に、思わず項垂れてしまう。




「………ですから、先生。

私は『智恵』だと………」



「先生じゃないよ、光太郎さんって呼んでよ!

そしたら、大人しく君の言うことに従うからさ」




朝比奈先生はにこにこ笑いながらも、有無を言わさぬ調子でしつこく迫ってくる。