ひまつぶしの恋、ろくでなしの愛

神様はきっと、この男に天賦の文学的才能を与える代わりに、社会的能力や常識といったものを奪ったのだろう。



でも、そんな甘いことを言っていてはだめだ。


すぐにどこぞの馬鹿女の餌食になって、破滅の一途を辿ることになってしまう。



そうなったら、朝比奈光太の小説が世に出ることはなくなってしまう。



それは、あまりにももったいない。


心を鬼にして、朝比奈先生を更生させなきゃ!



私は決意に満ちた表情で先生と対峙する。




「さぁ、行きましょう。

すぐに準備をしてください」




私に意思を曲げるつもりがないことを悟ったのか、朝比奈先生は「はぁい」と渋々立ち上がった。


そして、自分の荷物を置いてあるらしい部屋に入り、がさごそと荷造りを始めたようだ。



私はため息をついてソウコさんに向き直った。




「ソウコさん、いきなり差し出がましいことばかりしてしまい、申し訳ございません」



「いえ、気にしないで」



「ありがとうございます」




深々と頭を下げると、ソウコさんが余裕の笑みで私を見つめていた。