梓真とだって、してないわけじゃない。



今日だって、梓真はなんとなくキスしたそうだったけど、私が頷かなかったから。



それなのに。



「っ、ちょ……」



こんな、キスされたら。



思考まで止まるように、囁かれたら。




「っ、雅……っ」



もう、どうしようもない。



縋るように彼の服をぎゅっと握る。



梓真との経験が乏しいわけじゃないのに、こんな溶かされそうなキス知らない。



唇の隙間からこぼれた息が、空気を白く染めていく。



寒いはずなのに……真っ赤だ、きっと。



「千夜、」



優しく頭を撫でる手に、ほっとして。