外の気温は十分寒いのに、顔が熱を持つ。 「千夜……」 あ……、と。 そんな言葉を、紡ぐ間もない。 耳元で聞こえた、囁くような声に、思考も何もかも溶けて。 頭が真っ白になるけど。 「………」 静かにまぶたを、閉じれば。 「、ん……」 唇に、そっと温もりが触れる。 一度重なるだけで、終わらないそれは。 「千夜、」 「待って……」 「待てねぇ」 私が言っても、なかなか止めてはくれなかった。