「雅、」 「ん……?」 「……雅、」 彼の背中に、伸ばした手を回す。 「、あのね」 「ん、」 「……ありがと」 とっても、嬉しかったんだ。 頼っていいって、言われてるみたいで。 「……ああ」 彼の優しい声が近くから聞こえるのにほっとして、目を閉じた。 間もなく、眠ってしまった私の耳に。 「……離れんなよ」 ──彼のそんなつぶやきが、届くことはなかった。