「……わかってる」
「言っておくけど、」
汐乃さんが、雅にすこしだけかがむように指示して。
そして耳元で、小さく何かを囁いた。
「んなことしねぇよ」
「どうかしら。あなたは麗の息子だから」
ふふっと、楽し気に笑う汐乃さん。
親切にも私たちの分の紅茶を用意してくださって。そのまま支度をして、出かけてしまった。
「………」
「………」
「………」
リビングに訪れる沈黙に、どうしても耐えられなくて。
カップを手に取って、紅茶で喉を潤わせた。
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