「マジで困った」



手が退けられた明るい視界の中で、本当に困ったような表情をするから。



「次から名前で呼べよ」



「え、あ、はい……」



「敬語禁止」



「わかりま……わか、った」



なんだか、とてつもなく彼が愛おしく感じて。




「じゃ、乗れよ。

あんま遅いと、怒られるから」



「そういえば、授業ないの……?」



「さぼりに決まってんだろ」



「不良総長……」



「総長が真面目に授業出てる方が、イメージと違うだろ」



彼のバイクの後ろに乗せてもらって、彼の腰に腕を回すのが、ちょっとだけ気恥ずかしかったのは秘密だ。