「はあ、寒いわね。
さっきまでは暑かったから、余計に」
「……汐乃さんって、オープンですよね」
なんていうか、私の場合、さっきまで雅と何してたの?って聞かれたら、はずかしくて答えられないのに。
汐乃さんは、それさえもはずかしがることなくあっさり教えてくれる。
「べつに恥ずかしがることないわよ。
恋人や夫婦なら、当たり前のことだもの。まあ、当たり前でも麗にはすこし抑えてほしいけど」
「麗さんのイメージが……」
「父親でも旦那でもなくて、結局麗も普通の男だから仕方ないわよね」
この人が、私を自分の息子の彼女として受け入れてくれていることに、今でも泣きそうになってしまう。
こんな素敵なことってない。
「それに、結局なんだかんだいって、私も惚れちゃってるから」
汐乃さんが私を通して後ろを見ていることに気づいて振り返ると、リビングの扉が開く。
ふあっとあくびした雅が、眠そうな声で「千夜」と呼ぶから。
なんだかさっきまでの怒りはどうでもよくなってしまって、彼に近付いた。
「……親父から伝言。部屋で待ってるって」
汐乃さんに短くそれだけを告げた雅に連れられ、強制的に部屋にもどる。
「寝るぞ」とベッドに押し込められ、いつものように後ろから抱きしめられた状態で、添い寝する。



