「……雅」
「怖いものは怖いって言えばいい。
お前の嫌いなものも好きなものも、俺は知っておきたい」
どれだけ俺がお前のことを愛おしく思ってるかなんて、知らないだろ。
俺の両親はいまだに新婚並みに想い合っていて、それが時折面倒になるけどな。
でも、そういうのは嫌いじゃない。
いつかこの先の未来で、そうなる相手が千夜であればいいと思ってる。
「暗いところと、狭いところと……
あとね、虫とか辛いものは苦手。どっちかというと、嫌いだよ」
「ん」
「甘いものは好きだし、あとは……
──あ、そうだ。大事なもの忘れてた」
千夜が俺を見上げて、にこっと微笑む。
その顔色が普段通りにもどっていることにほっとしていたら。
「雅のことは、大好きだよ」
「馬鹿」
ふいうちはずるいだろ。
……せっかく、離してやったのに。
「あんま調子に乗るなよ。
俺を煽ったらどうなるのか、お前が1番知ってるくせに」
「え?ちょ、待っ……」
話せなくなるぐらい、強引に千夜の唇をふさぐ。
そのまま背中に回した手を上下に動かすと、背中のファスナーをおろされたことに気づいた千夜が、「だめ」と涙目で制した。



