「矢昏さんって、南さんに強奪されたんでしょー?いいなー」
「矢野くんは可哀想だけど、でも乃花いるしねー。
幸せそうで羨ましい」
「うんうん、なんか。
倉庫に入ってきたときもふたりで手つないでたし、ラブラブだったよねー」
みんなに口々に羨ましいと言われて、嬉しい反面はずかしくなる。
私のなんとも言えない曖昧な表情を見た乃花は、あきれたように苦笑して。
「千夜のそういう純粋なところ、嫌いじゃないわよ」
「ぁ……」
ひさびさに見た〝親友〟のその顔に、なにも言えなくなった。
裏切られても、嫌いだと言われても、やっぱり大好きな親友だから。
「乃花~っ……」
「え、なによ、」
ぎゅうっと抱きつくと、乃花は困ったように声をかけてくれるけど、離れてなんかあげない。
誰にも、親友のポジションは譲ってあげない。
「もう。千夜ってば、」
「相変わらず仲良しだね~」
周りの子にもそう言われて、嬉しくなった。
乃花はなんだか不服そうだったけど、「仕方ないわね」って無理やり引き離そうとはしなくて。
「私、ちょっとお手洗い行ってくるね」



