総長室で着替えて、髪を軽くひとつにまとめる。
部屋を出て幹部室に入ると、そこには雅しかいなくて。ふわふわと雅が私の髪をなでたかと思うと、まとめた髪をなぜかほどいた。
「なんでほどいちゃったの?」
「うなじを見せるのは禁止。
あんまり、自分を磨きすぎるなよ。ほかの男がお前に惚れたらムカつくから」
「………」
「ほら、行くぞ」
言いたいことはいっぱいあったのに、どうしてか何も言えなくなって。
雅が差し出した手に自分の手を重ねれば、ぎゅっと握り返してくれる。
それが嬉しくて、自然と緊張もほぐれてきた。
──総会が行われるのは、この倉庫の隣にある、大きな倉庫。
DECIDE専用の倉庫じゃ全員入り切れないから、隣に総会に使う大きな倉庫を建てたらしい。
ちなみに綺麗だけどいつ建てたの、って前に聞いたら、最近、って返事がかえってきた。
お金の出処は不明だけど、怖いから聞かないでおく。
「大丈夫だ。俺のこと信じてろ」
そう言って雅が微笑んでくれるから、こくりとうなずく。
倉庫の端にある扉から中に入ると、たくさん人がいるのか疑いたくなるほど、シンとしていて。
「、」
前に傘下の姫として総会に参加した時に自分が居た場所を見つめているのが、なんだか不思議だった。
前は"あっち"だったのに。
人生って、やっぱり何があるかわからない。