「ちーちゃん、ぎゅうう」
私の緊張をほぐすためか、ヒナくんが私のことをぎゅうっと抱きしめてくれる。
それがあまりにも可愛らしくて抱きしめ返したら、なぜか雅にため息をつかれた。
「堂々と浮気か」
「え?べつにそんなつもりは……」
「ヒナ。あとで個人的に話がある」
「あう……ごめんなさい」
ヒナくんが小さくなって、私の後に隠れる。
じ、と雅がヒナくんから私に視線を移すから、思わず白々しく目をそらした。
だって怖いんだもん。
「千夜」
「は、い」
「もうすぐ傘下が揃う。
俺らも向こう行くから、着替えてこい」
お咎めなしだったことにほっとしながら、うん、と頷く。
雅がこの間デートした時に買ってくれた、ワインレッドのワンピース。
私には大人っぽすぎる、と思ったけど、ママや湊人たちが似合うと言ってくれたから、きっと大丈夫。
「これでいいかな……」