絶えない連絡が面倒で、メアドを変えていたから、奈津美からもユキからも、連絡が来ることはない。
……わかっていること、なのに。
「──湊人」
「え?あ、ごめん。ちょっとぼーっとしてた」
なに?と雅の手元をのぞき込めば、いつぞやヒナと話していた、先代が遊びに来る日の詳細が事細かに書かれた用紙がおかれている。
遊びに来ると言われれば軽く聞こえるが、もてなすのが礼儀というもの。
用意する食事やお酒にもこだわらなきゃいけないし。
「暑さでやられてるなら、今日はもうやめとくか?」
「……いや、大丈夫。
わざわざ雅が家まで来てくれたのにそんな失礼なことしないよ」
奈津美と会ってから、また遭遇してしまうのが嫌で、ほとんどたまり場にも行ってない。
せっかくの夏休みを謳歌できずに家で過ごしていたら、詳細を決めるという名目で、わざわざ雅が家まで来てくれた。
「あいつらも待ってるぞ。お前が来ないと指示が上手くできないって」
それを聞いて、わざと雅が暑さでやられていると口にしたことに気づく。
本当は全部わかっているけれど、俺が気をつかわないように、か。



