『──ごめん、湊人。
こんなこと湊人に言いたくないけど、なっちゃんと別れて』
そんな電話がユキからかかってきたのは、夏休みに入る少し前のことだった。
「は……?」
『今まで、黙ってたけど。
俺、ほんとは……なっちゃんのこと好きなんだよね』
ユキが、奈津美のことを……?
そんなそぶりは見せなかったのに、誰とも付き合っていなかったのは、奈津美が好きだったから……?
「……それは、知らなくてごめん。
でも──奈津美とどうして別れなくちゃいけないわけ」
じぶんでも驚くほど、冷たい声が出た。隣でスマホゲームをしていたヒナが、びくっと肩を震わせて顔を上げるほどには冷たい声。
『俺だってほんとは……
昨日、いい加減なっちゃんのことを諦めたくて、告白した。そしたらなっちゃん、「いいよ」って言ったんだ』
「………」
『冗談だと思ったけど、それだったら湊人と別れるから、代わりに俺から話してほしいって』
「………」
『……ごめん、湊人』
ごめんって、言われても。
正直、どう返事するのが正しいのかなんて、俺にはわからない。



