……俺?
「あーあ、聞いちゃった」
そう言ってニヤニヤと笑みを浮かべるユキの頭を軽く叩く。奈津美、って……ああ、もしかして。倉木 奈津美(くらき なつみ)?
「しかも、なっちゃんだよなっちゃん。
よかったねー、湊人くんー」
「うるさいもう1回叩くよ」
「へいへい。黙りますよー」
なっちゃんこと、倉木奈津美は、学年の中でも派手めな女子のグループの中にいる。でも、倉木さん自体はとてもおしとやかな優しい子で。
「だってもうすぐ卒業でしょ?
奈津美なら頭いいからレベル下げれるけど、正直奈津美が湊人くんのためだけに高校のレベル落とせるなんて思ってないし……」
「それは、そうだけど……」
その子達といることが、はじめはみんな謎だった。
でも、どうやら彼女はその子たちの間で癒しのような存在になっているらしく、みんなから可愛がられていて。
「私は告白しといた方がいいと思うけどなー。
奈津美かわいいから、湊人くんも案外すんなり付き合ってくれるかもよ?」
「そっ、そんなわけないじゃん!
湊人くんだって好きな人ぐらい居ると思うし……っ」
そのグループの中で、彼女は圧倒的に男子からモテていた。
ほとんどの男子が、なっちゃん、とあだ名で呼んでるぐらいだし、世間一般的に見ても倉木さんは可愛らしい。



