「千夜ちゃん、そういうのって誰って言いづらいんじゃないかな?」



「まぁ簡単には言いたくないよねぇ」



「そのうちわかるんじゃね~?

無理やり聞き出すのはやめとけよ~」



めちゃくちゃフォローする。一騎は一瞬顔をしかめて、千夜ちゃんはきょとんとした後、「あのね」と口を開いた。



「ママもパパもすっごく仲が良くて、ラブラブなのっ。

だから、ごめんね。好きって言うことに躊躇いがないというか……」



「……雅にも良く言ってるの?」



「え?あ……え、と……うん……」




恥ずかしいのか、視線を泳がせてから頷く千夜ちゃん。そんな千夜ちゃんのことを、雅はまた抱きしめ直していて。



「そういえば、湊人は……?

彼女、とかいないの……?」



雅の愛し方って、まさに〝溺愛〟だよね、なんて思いながら、にこりと千夜ちゃんに微笑む。



俺の恋愛事情、か。



どうせ、誰かに言ったところで減るものでもないしな。むしろ、雅の彼女なら知っていてもいいと思う。



「千夜ちゃん。

俺の昔話、聞いてくれる?」



──残念ながら、俺は尊敬してる男の彼女に、素直に好きだと言えるほど図太い性格はしてないんだけどね。