「パパ、おかえりなさい」



「ああ、ただいま」



「宮、おかえりなさい。

雅くん来てくれてるわよ」



お邪魔してます、と告げた彼に、パパは「いらっしゃい」と返して。



「千夜。よかったな」



「うん、でね?パパ、」



「ああ、別に付き合うのは好きにすればいい」




ネクタイを外しながら言うパパに、え、と驚いていたら、パパは優しく微笑んで私の頭を撫でた。



「初めから俺は認めてただろ」



「え?」



「夜中に娘を男のところに送り出す嫁に何も言わなかったのは、認めてるからだ。

千夜も、今回は幸せそうにしてたしな」



倉庫に泊まった日のことか、とパパを見上げる。そして「ありがとう」と言えば、パパはくすりと色っぽく笑って。



「まぁ、もし千夜を泣かせるようなことがあったら

一生嫁に出してやらねぇけど」



低めの割と本気な声でそう言ったパパに、「いつになったら宮のこと独り占めできるのよ」とママがつぶやいたから、思わず雅と顔を見合わせて笑ってしまった。