「──雅」



ママとの約束を果たすため、倉庫から私の家へと行こうと雅と立ち上がったとき。湊人が、珍しく彼の名前をきちんと呼んだから。



不思議に思っていたら、雅は微かに目を見張った。そして、「やっと、か」と口角を上げる。



「……うん」



「………」



「遅くなってごめんね。

でも、もう大丈夫だから」



ふわりと笑った湊人の表情は明るくて、彼の中で何かが解決したのかな、と思う。だけどそれはふたりにしかわからないことで。




「いってらっしゃい」



「ああ」



「もちろん仲間としてだけど。

やっぱり大好きだよ、雅のこと」



ふ、と小さく笑う雅。



それからふたりで倉庫を出たのだけれど、どうもモヤモヤする。それを目ざとく見つけた彼は、どうした?と尋ねてくるけれど。



「……私だってだいすきだもん」



「……?

ああ、さっきの湊人のこと言ってんのか?」