「じゃあ帰ろうか」



和やかな空気の中、湊人の声でDECIDEの幹部は外に出る。雅の元に戻ったら、「よく頑張ったな」って褒めてくれて。



「雅……嘘つかせてごめんね」



自分から付き合う話を持ち出したという嘘をついた彼に謝ると、「なんの話だ」と言われた。



これは……気をつかわなくていいってことなのかな。



「じゃあ、またな」



梓真に見送られて、「またね」と返す。碧の子たちに「ありがとう」と手を振って、歩き出したとき。




「千夜、ちょっと待ちなさいよ!」



倉庫の中から出てきた彼女に引き止められる。足を止めて振り返れば、乃花が駆け寄ってきて。



警戒しているのか、雅は眉間に皺を寄せた。



「許さないから」



「え、」



「ちゃんと幸せになってくれないと許さないから!」



ば、と手に持っていた何かを私に押し付けた乃花は、そのまま倉庫の中へと戻ってしまった。