ずき、と胸が痛む。乃花は、私と仲良くしてくれてる時からずっと私のことを邪魔だって思ってたのかな。



「それは違うだろ。

俺にフラれた腹いせか?」



「なっ……」



雅の言葉に、顔を赤くする乃花。こんなところでフラれたことを堂々と言われるなんて、恥でしかないと思う。



「違うわよ……そんなんじゃない。

この子が邪魔だから、あなたの彼女になって無理やり姫から下ろそうとしただけ。ま、無理だったからこういうことになったんだけど」



「……お前の目的は、矢野か」



え……?梓真?




聞こうと思ったけれど、雅が私の頭に手を置いて、小さく笑ってみせた。



「言ってやれよ、千夜。

もう矢野のことは必要ないって」



「は……!?何言ってるのよ!!」



きっ、と私を睨んでくる乃花。それにびくっと肩を揺らせば、雅が私を優しく引き寄せて口を開く。



「碧の裏切り者なんだろ?

必要ねぇみたいだからな。コイツ俺にくれよ」



ざわざわと、碧がざわめく。梓真はぽかんとしていて、乃花は「ふざけるんじゃないわよ!」と手を振り上げた。──けれど。



「誰の女に手出そうとしてんだよ」