そう言うと、雅は私をぎゅっと抱きしめてくれた。それから、耳元で小さく囁く。



「お前が悲しかったり苦しかったりしたら、

俺が半分背負ってやる。だから──」



そばにいろ。



その言葉がどうしようもなく嬉しくて、何度も頷く。



ぽんぽんと頭を撫でてくれた雅からゆっくり離れると、ちょうど湊人が私たちを呼びに来て。



「もう、後戻り出来ねぇ。

それでも……いいか?」



倉庫に入る直前。その最後の確認に、迷うことなく頷いた。大丈夫。雅がそばにいてくれるなら、私は負けないよ。




「千夜、」



中に入ると、梓真に名前を呼ばれた。けど、返事はできなくて。



「どこまで説明した?」



雅がそう尋ねた瞬間。私の元へと歩み寄ってきたのは乃花で、彼女は怒り気味に私に話しかけてくる。



「どういうこと!?

なんで、あんたがDECIDEと一緒にいるのよ!!」



「乃花、」



「あんたのせいで私の居場所がどんどんなくなっていくの……!

いい加減あんたが邪魔ってこと自覚しなさいよ!」