ふっと笑った雅が、私の頭をなでる。



それだけでなんだか照れくさくなってしまって、すこし俯いた。



「楽しみにしてた?」



──雅が私と視線を合わせて、そんなことを尋ねてくるから。



かあっと、頬が赤く染まっていく。



「た、のしみにしてた」



それでも口から洩れてしまうのは本音で。




「……調子狂うな」



「え……?」



「いや。

ん、ほら。デートするんだろ?」



差し出された手に、一瞬戸惑う。



彼は整った容姿をしてるから、人目を集めていて。



ここは駅前だから、特に人が多い。



雅の隣に並ぶのがなんだか申し訳なくて、なかなか手を出せずにいると。