それからは普段と変わりない話をして。



いつものように、雅に家まで送ってもらったときのことだった。



「あの、雅……」



「ん?どうした?」



いつもなら、「またね」と言うこの場所で、私は雅を引き止めた。



「無理、だったらいいんだけど……

土曜日、空いてるかな、って」



「土曜?」



一瞬不思議そうな顔をして、すぐに「空いてるけどどうした?」と聞かれる。




「……わがまま、言ってもいい?」



「ん?」



「ふたりで出掛けたいなぁ、って。

……だめかな?」



視界の雅は、なにか言いたげな顔をして。



でも何も言わずに、そっと私を引き寄せた。



「……どこ行きてぇの?」



耳元で聞こえる声は、優しくて。



「行って、くれるの?」