綺麗に作られたオムライス。



そのすぐ横に、小さなメモがあって。



『湊人、いつもありがとう。

温めてから食べてね 千夜』



たったそれだけしか書いてないのに。



「……っ」



せり上がってくる、謎の焦り。



──〝気づくわけは、いかない〟




そうでしょ?



だって……。



「千夜ちゃんは、」



──ミヤの、好きな女の子。



「大切な、お姫さまだもんね」



だからきっと、こんなの間違ってる。



今日は、ちょっとだけおかしい。



そのせいで、こんな風に感じてるだけだ、そう心の中で考えて、余計な思いは全部閉じ込めた。



【湊人sideend】