呼べなくなった。



なんだかんだ大切な存在だからこそ、手放すのに恐れたのは俺の方。



甘えた考えを捨て切れていない俺のこと、ミヤは嫌ってくれればいいのに。



俺にとってミヤがそんな存在であるように、ミヤは俺のことを大切だとそばに置いてくれるから。



だから俺は、ミヤの上には行かない。



ミヤの次のポジション以外は、いらないんだ。



「じゃあ、どっちを答えてくれる?」



ふ、と、口角を上げた俺。




ミヤは小さくため息をついて口を開き──



「作戦ならもう考えてある」



「──、」



「俺はなんとも思わねぇ女のために動くような男じゃねぇってお前が一番理解してんだろ」



まったく。



「美織さんと、はっきりさせときなよ」