【side識音】 恋したらそばにいたくなるのは必然的なものだと、私は思うの。 一番に、愛されてたいって。 だから、わがままになる。 「……識音」 背中からかかる声に、返事することなく目を閉じる。 甘えたい。 だけど、素直じゃないから甘えられない。 「無視、か」 いつもよりちょっと低い声に、途端に不安になる。 もう、すれ違いたくない。 なのに、好きだから私が重いことを言ってしまった。 「千夜の方が大切?」って。 そんなの、比べるものじゃないことぐらい、私が一番よく理解してるはずなのに。