「泣くほど苦しいんだろ。
心配するから、あんま無理すんなよ」
パパの手が優しく私を引き寄せる。
声と同じように、私をそっと包んでくれるから。
「っ、パパ、あのね」
ぎゅっとパパの服を握って、口を開く。
きっと、ママが部屋で待ってるのに。
ママは今日、不安定だから、引き止めちゃダメなのに。
「そばにいたい、のに、」
「ああ」
「っ、離れなきゃダメなの……っ」
いつから、こんなに好きになってたんだろう。
一度気づいた想いはもう、止められなくて。
「好きなのに──っ」
どうしようもなく、あふれてしまうから。



