『もしもし、千夜ちゃん。
いま、かけても大丈夫だった?』
「うん、大丈夫だよ。
パパもママも、もう部屋行っちゃったから」
湊人が向こうで「それならよかった」と微笑んだのがわかった。
湊人の声は、雅とはまた違う落ち着きがあって。
「湊人が連絡してくるなんて珍しいね。
何かあった?」
『うん、実はね、予定より物凄く早いんだけどさ』
この先の言葉を予測するだなんてこと、私には出来るはずもなくて。
私の耳に、
落ち着いた声で告げられたそれは。
『あと3日あれば、千夜ちゃんが、情報の漏洩をしてない証拠が出るよ。
犯人が、千夜ちゃんの親友ってこともわかったし』
あまりにも唐突で、残酷で。
「………」
『千夜ちゃん?』
──声が、出なかった。



