───……
「千夜、お前に甘えてばっかりで悪いな。
後片付け、頼んでもいいか?」
私がお風呂から上がったときに脱衣所の向こうから、パパにそう言われて。
もちろん、と引き受けた私。
そのあと、パパは優しくママに話しかけていた。
それからママとふたりで寝室に行ってしまったから、服を着て脱衣所から出た私は、リビングにひとり。
「なーんか、さみしいなぁ」
ぽつりと、つぶやく。
でも、すぐに気持ちを切り替えて食器洗いに取り掛かる。
明日どこ行くのかなー。
「あっ、」
明日の行き先を考えていたら、とつぜんポケットに入れていたスマホが震えて。
あわてて手を洗ってタオルで拭いてから電話に出ると、向こうからは優しい声がした。



