触れるの意味も、深くなくて純粋に触れるっていうことらしい。
うん、そうだよね。
私の前でそんな話さすがにしないよね。
「パパはいまもママのこと好き?」
「ああ」
「触れたくなる?」
小首をかしげた私に、パパはちいさく笑った。
「当たり前だろ?」
「ふふっ、ママがいつも幸せそうな理由がわかった気がする」
「まぁ、識音だけじゃなく俺もなかなか幸せなもんだけどな」
パパとふたりで、そんな話をしていたら。
カチャ、と音がして扉が開いた。
「あ、ママっ」
「わざわざ運んでくれたのよね?
ごめんね。ありがとう、宮」
千夜もご飯ありがとう、とママは微笑むけど。
まだ、顔色が悪いような気がする。



