パパは片手でわたしの頭をくしゃっと撫でて、「悪いな作らせて」と謝ると、
ママをソファに座らせる。
その前にしゃがみこんで、パパはママに「どうした?」と優しく問いかけた。
「なにも、ないって言ったのに」
「ああ。でも、なかったらお前はこんなに情緒不安定にならないだろ。
言いたいこと全部言っていいから、な」
「っ、」
ママはいまにも、泣き出しそうで。
「……情けないなぁって」
「ん?」
「宮は色んなこと頑張ってくれてるってわかってるのに……」
「……ああ」
「宮がいないとさみしいし、姿を見るだけで甘えたくなる自分が情けない……もう何年も一緒にいるのにね」
ママは、何度もパパに恋してるから。
だからきっと。
「そんなに心配すんな。お前がさみしいって抱きついてきても甘えてきても俺は拒まねぇよ」
いまも、こうやって不安になっちゃうんだね。