ママに背中を押してもらったあと、



ふたりでお昼を食べていたとき。



ママは、昨日私がいなかった間の話をしてくれた。



パパに抱きしめてもらった、とか、愛してるって言ってもらえた、とか。



ほんのわずかなことなんだけど、それがママにとっては特別で、ママは幸せそうに話してくれる。



ママはずっと、パパに恋してる。



何年たっても、ずっと。




パパの話をするママは、恋するかわいらしい女の子のようで、見ている私も思わず頬がゆるんでしまう。



「じゃあ、パパは私がいると遠慮しちゃってるのかな?」



「娘に見られるのは複雑なのよ。

それに宮は、元々そんなに私とベタベタしてたい人じゃないもの」



ふわり、笑うママ。



「たまにそうやってふとした機会に愛してもらえてるって実感できるから、

ママはとっても幸せなのよ」