【side識音】



「ねぇ、宮」



「ん……?」



隣にいる彼に、ぴったりくっついて声をかける。



「どうした?」



「千夜ちゃん、梓真くんと彼のどっちを選ぶのかしらね」



ちら、と。



彼が私に視線を落としたかと思えば、背中に腕を回して引き寄せられた。




宮の手が頬を撫でて。



──ああ、これは。



次の行動を察して目を閉じれば、案の定唇が重なる。



「なに?突然」



彼が私のことを大切にしてくれるのはわかっているけれど、宮は基本的に私にあまり触れたりしない。



ある程度の距離を保っているから、珍しくて。