「だ、だからそうじゃなくて……っ。
っていうかママ、パパに怒られるよっ!」
『───』
「もうっ、わかったからっ。
せっかく私がいないんだから、ふたりでゆっくりして!ね!」
無理矢理に電話を終わらせて、千夜ちゃんは小さくため息をついた。
「大丈夫?」
「うん……。
パパが待ってるのに、ママが長電話しようとするから」
「ふふ、千夜ちゃん家族のこと好きそうだもんね」
うん、と千夜ちゃんが嬉しそうに笑うから。
「千夜」
まぁ、この独占欲の王様が黙ってるだなんて思わなかったけど。
結局その日、千夜ちゃんは倉庫に泊まることになって。
彼女が自らの周りを取り巻く感情に気が付くはずもなく、夜が更けていった。
【湊人sideend】



