涙の滲んだ瞳で、雅を見上げれば。 「、」 ゆっくりと、雅が離れる。 「………」 そのまま、こつんと私の肩に額を押し当てた。 「……あー、」 「……?」 「……行くか。寒いしな」 ひとりで解決したのか、雅はそう言うと私の手を引いて歩き始める。 「え、あの、」 「冷えるから、早く帰んぞ」 待って、雅。 ……どうして、キスしたの? 聞きたいのに、臆病な私は口を開けないままで。 彼に腕を引かれたまま、歩くことしか出来なかった。