「分かった。抱かねぇよ。
けどちょっくら味見するだけならいーだろ?」


「はぁ…。もう勝手にしてください。
ただ、傷物にしたら…ーー。」


「わーってるよ!!
だからおっかねー顔すんじゃねーよ。

…ったくどっちが頭(かしら)なんだか…。」


会話を聞いていたナディアは、そんな言葉とともに近づいて来る足音に体を硬くした。


来る!!
逃げないと!


そう思ったその時、扉が開き隣の部屋から漏れた明かりで照らされた。


「きゃ!」


眩しさについ声を出してしまった。


「おーお嬢ちゃん、目ぇ覚ましてたのか。」


逆光で顔まではよく見えないが、大柄の男が扉の前に立っていた。