「皇女様、この老婆の言葉を信じてはいただけないのですか?」


婆は何代も前の皇帝からずっと宮廷に仕えている術者。

現在何歳なのかは不明だが、次々死んでゆく皇帝たちを見送って来た不死身の老婆と言われている。

しかし婆にもついに寿命が来たのか、憔悴しきった様子でここ最近は薄暗い自室に篭りきりであった。

そんなある日、いきなりナディアを部屋へ呼び出したのだ。


「三国徴蓋史に書かれていた予言がついに現実のものになる、そう神がこの老婆にお告げなさった。
それを止められるのは三国の内の一つ、マンスール帝国の皇女のみです。」


そんな…。

ナディアは婆の言葉に息を呑んだ。