「うえーい!!お酒って超うまいっすね!」


そう、まだお酒をあまり飲み慣れていない、彼女が満面の笑みでジョッキを持ち上げる。



しかし、まあ、いつも変なテンションになってるが、今日は特に飲みすぎだな。


「きらら、そろそろ水飲んどけ。」


コップを渡すと、酒を止められるのが不満なのか、眉をひそめ、不機嫌な顔に。



「てゆーか、麻生さんも飲んでくださいよー。」


えいえい、とジョッキを押し付けてくるのをやんわりと避ける。


「あのさ、毎回言うけど、俺酒強くないの。
酔っぱらい二人になったら帰れないでしょ。」


「…でも、たかやすくんと飲みたいな。」



上目遣いで、シャツを掴む。
なんてことを天然でしてくる、彼女。



あー、くっそ。



「じゃあ、わかった。その代わり俺ん家ね。」


「えっ…。」と、おそらく酔いとは別の理由で顔を赤らめる彼女を見て。



本当に、心底、シラフで良かったと思った。



【from:飲まないからこそ見える世界】