リビングには、私と君の二人きり。



「好き。」



ソファーの隣に座っている君に、呟いた。

普段はパッチリな二重の瞼は閉じられていて、耳にはイヤホン。


もちろん、聞こえていないことは承知の上での言葉。



「…いい加減、不毛な恋はやめよう。」


はあ、と小さくため息を吐き、席を立とうとした時。



パシッと腕を捕まれ、バランスを崩す。


「わっ…!」


そのまま後ろに倒れこむと、君の膝の上に乗ってしまった。


「ごめ…「俺も、好き。」


ぎゅうっと後ろから強く抱き締められる。



「…っ聞こえてたの?でも、私たち…。」



「言わないで。
今は余計なこと、考えないでよ。



俺のことだけ、考えてて。義姉さん。」




″姉弟なんだよ″という言葉は。
罪悪感と一緒に、飲み込んだ。