「そういえば彷徨。
お前なんでそんな封筒使っているんだ?」



兄貴が僕の持つ月の封筒を見ながら言った。




「これ、思い切りお前の趣味じゃないか。
妹の越田夏月に送っているんじゃないんだぞ」

<わかっているよ>




兄貴には越田夏月の下駄箱に毎朝手紙をいれていることを知らない。

越田夏美の下駄箱にいれるなんて、難しい。

ぐしゃぐしゃになるのが、目に見えている。




「そうだ。
夏美さんはチューリップが好きなはずだ。
お前確か、チューリップの写真持っていたよな」



確かに前に母さんから譲り受けたのがあるけど。

僕は頷いて、机の中から写真を取り出す。




「これをいれろ。
きっと気に入ってくれるはずだ」




自信満々に語る兄貴に、僕は苦笑いを返した。










次の日。

僕は手紙と一緒に、写真を同封した。

喜んでくれるかわからないけど。

いつも通り越田夏月の下駄箱にいれ、僕は教室へ向かった。