右からも左からも後ろからも押されて揉みくしゃにされる。 何だか満員電車の中にいるみたい。 困ったなぁ。椿君どこにいるんだろう……。 つま先立ちして周りを見渡しても、椿君の姿が見当たらない。 「椿君!?」 あたしの声も周りの雑音にかき消されてしまう。 その時、ふいに手首を掴まれた。 「如月さん、こっち。一回抜けようか」 椿君はそう言うとあたしの手首を優しく引き、大通りを抜けた脇道に反れた。