学祭も終わり、すっかり秋も深まった頃。
誰もがエンジン全開って感じで、受験に向けてスパートをかけ始めた。
……はずなんだけど。
「今日、帰り、どっか行かへん?」
この人は、なんでいつも一人だけこんなにマイペースなんだろう。
わたしは目の前でニコニコ笑っている彼に向かって小声で言った。
「サトシ君……授業は?」
「ええやん? だって自習中やもん」
そう。
今は自習時間。
呑気な2年生の頃と違い、さすがにこの時期になると、自習時間も貴重な勉強時間になる。
みんな静かに勉強に集中している。
……うん。
たしかに、自習時間なんだけど……。
それはうちのクラスの話なわけで……。
となりのクラスである、サトシ君は違うはず。
要するにサボってるんだ、この人は。
そして、さっきからわたしの前の席に、イスをわたしの方へ向けて座り、何かと話しかけてきている。
「オレ……邪魔?」
サトシ君は顔を傾けて、“キュン”……て、今にも鳴き出しそうな子犬みたいな目で訴えかけてくる。
ダメ……。
この目に弱いんだよね……わたし。
そんなことないよ……って否定しようとしたその時。
「思いっきり邪魔」
すぐそばで聞きなれた低い声が響いた。
誰もがエンジン全開って感じで、受験に向けてスパートをかけ始めた。
……はずなんだけど。
「今日、帰り、どっか行かへん?」
この人は、なんでいつも一人だけこんなにマイペースなんだろう。
わたしは目の前でニコニコ笑っている彼に向かって小声で言った。
「サトシ君……授業は?」
「ええやん? だって自習中やもん」
そう。
今は自習時間。
呑気な2年生の頃と違い、さすがにこの時期になると、自習時間も貴重な勉強時間になる。
みんな静かに勉強に集中している。
……うん。
たしかに、自習時間なんだけど……。
それはうちのクラスの話なわけで……。
となりのクラスである、サトシ君は違うはず。
要するにサボってるんだ、この人は。
そして、さっきからわたしの前の席に、イスをわたしの方へ向けて座り、何かと話しかけてきている。
「オレ……邪魔?」
サトシ君は顔を傾けて、“キュン”……て、今にも鳴き出しそうな子犬みたいな目で訴えかけてくる。
ダメ……。
この目に弱いんだよね……わたし。
そんなことないよ……って否定しようとしたその時。
「思いっきり邪魔」
すぐそばで聞きなれた低い声が響いた。