わたし達は3年生になった。

ついこの間入学したばかりのような気がするのに。

真新しい制服を着た下級生達とすれ違う度に、なんだか羨ましく見えた。


すっかり馴染んだこの制服に袖を通すのも……

見慣れたこの廊下を歩くのも……

あと1年。




「ちぃちゃーん!」

教室に入ると、アカネちゃんが抱きついてきた。

アカネちゃんと同じクラスになったのは1年生の時以来だ。

わたし達はキャーキャー言いながらお互いに喜びあっていた。



「うぃーす!」


頭上からそんな声がしたかと思ったら、頭をポンっと叩かれた。

頭を触りながら、声のする方へ振り返る。


「1年間よろしくな」


シィ君だ。

そして、その後ろにはヤマジ君がいた。



考えてみれば、あり得ないことじゃなかった。

例えユカリちゃんとクラスが離れたとしても、あのメンバーの中の誰かと同じクラスになる可能性は充分にあったわけで。


でもよりによって、なんでシィ君なの?



シィ君はヤマジ君と二人で教室の後ろの方の席で喋っている。


彼が去った後も、彼の手の感触がいつまでも頭に残っているような気がした。


ただ頭を触られただけなのに……なんでこんなにドキドキしてしまうんだろう。



「ちぃちゃん?」