ピーポーピーポー… 気付くと、遠くからは救急車のサイレン音。 優羽のお母さんが父さんの状態を見てすぐ通報したのだろう。 「泰輝君!」 父さんの傍から僕に叫ぶのは、優羽のお母さん。 声も出ず、そちらの方を向くと 「優羽も泰輝君のお父さんも大丈夫だから!今はあなたがしっかりしなさい!」 その通りだ。 今僕がメソメソするわけにはいかないんだ。 信じて、信じて、信じ抜くしかない。 頬をつたる涙を拭って僕は 「すいません、ありがとうございます!」 と、大きく声を張って覚悟を決めた。