それから、たまに来る彼と話すようになった。 舞台裏から見ては母に挨拶して帰る。 必要以上には話さない。 「……。オレんち、母親いないから、 すぐ離婚して親父とふたりきりで、いきなりあの人が 家に来て母親だって言われても、わけわかんないよ。」 舞台裏から母を眺めながら、愚痴みたいな 独り言みたいな 彼の話を聴くのが心地よかった。 「………そうなんだ。」 「……あの人、あんた達のこと忘れてないから。 オレに気を遣ってるからかあんまり話さないけどさ。 」