叶わなかったひとたちを知っている。 腕をもがれるより辛く痛い。 彼女は一度そんな思いをしてるのか。 ピロンとLINEの通知音でふと、我に返った。 もう30分も立っていた。 帰らないと。 蓮花に心配をかけさせてしまう。 おれは廊下を歩き出す。 踏みしめる地面は夢ではないと確かめるように。 〈綾瀬目線終わり〉